結婚式に着るドレスの歴史と“純白”のルーツとは?なぜウェディングドレスは白いのか?

白く輝くウェディングドレスは幸せの象徴。「結婚式を挙げたい!」と思っている女子のモチベーションの9割は、純白のドレスへの憧れと言っても過言ではないかもしれません。

ウェディングドレスと言えば白、何ものにも染まっていない白、純真無垢な白、白、ホワイトが定番です。カラードレスが増えてきているとは言え、お色直し前のメインドレスはシルクのホワイトドレスというのが一般的です。ところでこの「ドレスは白」っていつ頃から、どんな経緯で決められたのかご存知ですか?

ウェディングドレスはなぜ白なのか?について解き明かしてみたいと思います。

ウェディングドレスが白になったのは結構最近?ヴィクトリア女王の結婚

ウェディングドレスはいつ頃から白が定番になったのでしょうか?ほとんど“しきたり”のようになっているウェディングドレスの色ですが、その歴史を辿ってみると、流行から生まれたものらしいのです。

「ウェディングドレスは白!」のイメージを決定づけたのは、イギリス・ハノーヴァー朝の第6代女王、ヴィクトリア女王(1819~1901)だったと言われています。18歳で王位を継いだヴィクトリア女王は、大英帝国躍進を担った“戦う女帝”なのですが、当時「世界で一番有名な女性」の一人でもありました。

2011年、ダイアナ妃の遺児であるウィリアム王子とキャサリン妃のロイヤルウェディングも世界中で話題になりましたが、インドを始め、世界の半分以上を実質支配していたと言われる大英帝国の女王の結婚式が、どれだけ影響力を持っていたのか創造するのは難しいでしょう。

では、ヴィクトリア女王以前のウェディングドレスはどうだったのでしょう?時代を遡ると、カエサルやクレオパトラのローマ時代は、「黄色が花嫁に相応しい」とされていて、ドレスやヴェール、シューズに至るまで黄色で着飾るのが一般的だったようです。カラードレスの中でも黄色はピンクに並んで人気の色だと言いますから、結婚と黄色が結びつくインスピレーションが何かあるのかもしれません。

ヴィクトリア女王が純白のウェディングドレスを着る以前、結婚式にドレスを着る文化はもちろんありましたが、当時は主人公である花嫁もゲストも舞踏会のようにドレスを着る機会が多く、単なるお洒落として着ているのが当たり前でした。花嫁だけが白という決まりもなく、列席した女性陣のドレスだけで主役を見分けるのは難しかったとも言われています。

もちろん庶民にとって、高級ドレスは高嶺の花。日常生活にも着回せるようなドレスを着るのが一般的でした。

これを一変させたのが、ヴィクトリア女王とアルバート公の世紀のロイヤルウェディングだったというわけです。ちなみにヴィクトリア女王が初めてつけたと言われる白いレースのヴェールは以降、ドレスとセットで考えられるようになりました。衛星中継もましてやテレビもない時代に世界に影響を与えたイギリスの女王恐るべし・・・・・・。

ウェディングドレスの白は純潔、無垢、処女性をアピールする色?

ヴィクトリア女王の婚礼から、シルクの光沢が美しい純白の「ホニトンレース」のドレスが、「ザ・ウェディングドレス」として広まっていきます。はじめはイギリスの上流階級、ついで、産業革命によって財力と存在感を強めていた中流階級へ、当時のファッション雑誌がこぞってこの婚礼でのドレスを取り上げたことから、瞬く間にヴィクトリアスタイルが浸透していきました。

ヴィクトリア女王が選んだのが、何ものにも染まっていない色であり、何ものにも染まる色でもある“白”だったことも、それまでの結婚に対する意識、宗教などとも相性が良かったようです。白=純潔、無垢、もっと踏み込めば処女をイメージさせるというのは現代の日本で生きる私たちもしっくりくる話でしょう。

ヴィクトリア女王の時代、イギリスでは、再婚する花嫁や処女ではない女性は白いドレス、ヴェールをかぶることが許されなかったと言います。当時の『ゼクシィ』とも言うべき結婚式の手引き書には、「再婚者は落ち着いた色か暗褐色のシルクを着れば問題ない」と書かれていたそうです。

処女かどうかどうやって調べるんだ!花嫁が純潔なんて幻想!という声もあるかもしれませんが、当時は初婚であれば性経験がないというのが前提でした。いまでは性差別になりそうな話ですが、女性に純潔を求めるのが当たり前、複数の人と性交渉をもった女性は、当時怖れられていた梅毒や各種STDを罹患する可能性があるという事情もあったようです。

でも、女性だけって言うのもおかしな話ですよね。現代では、男女ともに婚前に検査を受ける「ブライダルチェック」なんてものもありますから、女性だけに純潔を求めるというのはナンセンスでしょう。

日本でも花嫁=白のイメージが 白無垢の歴史はもっと古い!

少し話が逸れましたが、白=無垢というイメージは、日本でも古くから定着していたようです。日本の伝統的婚礼正装と言えば、その名も「白無垢」ですよね。古来、祭事に用いられていた服の色である神聖な白を花嫁衣装に用いたのが白無垢だと言い伝えられています。白無垢が婚礼の正装になったのは平安時代のこと。十二単などの着物文化も発達した宮中文化華やかな平安時代に白無垢が登場したのも必然と言えるかもしれません。

それから時代による変遷はあるものの、日本でも結婚=白のイメージが長く続きます。明治に入って西洋文化外一気に流れ込んできた際、ウェディングドレスも日本にもたらされました。そのときはすでにヴィクトリア女王によって純白のドレスのイメージが固まっていました。日本でウェディングドレスが一般的になるのにはもう少し時間がかかりますが、日本人にとっても婚姻の儀式に白いドレスを着るスタイルが受け入れやすいものだったことは想像できます。

日本で初めてウェディングドレスを着た人が誰なのかも気になりますよね?明治6年、1867年に長崎で中国人と結婚した磯部於平(いそべ・おへい)という女性が海外製のウェディングドレスを着たのが最初と言われています。

ウェディングドレスが白と決定づけたのは1840年2月10日のヴィクトリア女王の結婚式でした。19世紀末からの伝統と言うことなので、意外と新しい“しきたり”だったんですね。時代背景や当時の女性に対する考え方から白=純潔、無垢というイメージが強かったのも事実ですが、世界中でもっとも注目を集める女性だったヴィクトリア女王への憧れ、最新ファッションが世界中の女子に広まったというのが真相のようです。女子のおしゃれ心とトレンドに敏感なアンテナは国境も越えるということですよね。