逃げ恥に学ぶ脱・恋愛至上主義 結婚に恋愛は必要か?

逃げ恥に学ぶ脱・恋愛至上主義 結婚に恋愛は必要か?

昨年の大ヒットドラマ『逃げるは恥だが役に立つ』は恋ダンスが大きな話題になりましたが、このドラマの主人公、みくりと平匡が交わした「契約結婚」を中心とした恋愛と結婚のあり方、夫婦像も世間に大きな波紋を呼びました。

結婚するにはまず恋愛?お互いを知り合う方法は本当に恋愛がベストなの?などなど、ドラマのなかの契約結婚のあり方をヒントに、結婚に恋愛は必要なのか?という、婚活の永遠のテーマとも言える謎に迫ります。

みくりと平匡の契約結婚は通常の契約結婚とは違う?

ガッキーの可愛さと星野源の不思議な魅力が爆発した人気ドラマ『逃げるは恥だが役に立つ』は、新垣結衣演じる、大学院まで出たけど内定ゼロ、職なし彼氏なしの主人公・森山みくり (25歳)が、独身の会社員・津崎平匡 (35歳)の自宅で家事代行として働くところから始まります。

かなりぶっとんだ設定ですが、その後みくりは平匡に「就職としての結婚」を提案します。夫である平匡は雇用主、みくりは従業員として妻として生活することになるのです。ドラマではこれを「契約結婚」と呼んでいますが、一般的な契約結婚は、お互いに事前に取り決めた項目に基づいて契約を結ぶ結婚のこと。アメリカでは婚前契約が当たり前という話を良く聞きますが、ハリウッドスターが離婚の際の条件まで取り決めて結婚するのをイメージするとわかりやすいでしょう。

逃げ恥では、住民票は同世帯に移していますが、婚姻届は提出していないので、一般的な契約結婚とは意味や性質が異なるのです。ちなみに夫婦になる意思がないのに婚姻届を出すのは違法になるんですね。

契約結婚のメリット

ドラマ内の二人は結婚を雇用契約ととらえ、当初は恋愛感情抜きで共同生活をスタートさせています。平匡は自らをプロの独身と言うほど女性への免疫がないので共同生活は滑稽なほど事務的に進みます。

日本の夫婦間で良く問題になるのが男女家事分担。「私は家政婦じゃない」という妻と、家事などやったことのない夫の深い溝を埋めるのは、そう簡単ではありません。逃げ恥では、家事を労働としてとらえることで、こうした問題を解決しています。

みくりは家事代行業を労働として行っているので、すべての家事が仕事になります。労働の対価として報酬が発生するので、サービスを向上させるのも当然。みくりは完璧に家事をこなし、それに対してストレスを感じることはありません。一方、夫である平匡も家事を契約上の妻に負担させることに心を痛めることはありません。対価を支払っているので改善の要求もでき、サポートするという概念も生まれません。

こうした関係が新しい夫婦のあり方の一端を視聴者に示した可能性はありますが、実際の恋愛、結婚、夫婦生活はこんなにドライには進まないでしょう。事実、みくりと平匡もお互いに恋愛感情を抱き、遅ればせながら交際を始めたときには、仕事として割り切れず負担感や罪悪感にさいなまれていました。

契約結婚から生まれる恋?恋愛の順番を死守する必要はない

結婚のあり方も逃げ恥が示した価値観の一つですが、さらに注目したいのが、みくりと平匡の結婚に至るプロセスです。最終的にはハッピーエンドということになるのですが、契約結婚から恋愛、そして結婚へという“本末転倒”な結婚プロセスは、来たるべき適齢期総”要婚活”時代に大きな影響を与えるかもしれません。

昭和のある時期まで、日本ではお見合い結婚が当たり前という時代がありました。いまのお見合いよりも親同士が結婚相手を決める許嫁的要素が強かったこともあり、出会う前にまず婚約、結婚してから愛情を育んでいく夫婦も珍しくなかったのです。いまでは考えづらい結婚の形ですが、それでも夫婦関係は破綻することなく、「一緒にいる内に愛情が芽生えた」と感じる夫婦も少なくありませんでした。

そうした時代から、恋愛結婚が主流というより唯一無二の「いいこと」として求められる“恋愛結婚至上主義”時代がやってきます。日本の景気が右肩上りで、結婚して子どもを持ち、マイホームを手に入れることが幸せという価値観が定着したのもこの時期だと言われています。

バブルが弾け、日本の景気は停滞を続けます。雑誌に「未婚時代」「結婚は贅沢か?」なんて見出しが並ぶ時代になり、結婚に対する考えは再び変化の時代を迎えています。

逃げ恥のような出会い方、結婚へのプロセスはドラマならではの特殊なものですが、恋愛が先になくても幸せになれるというのは多くの人に受け入れられる価値観になったと言えるでしょう。

「婚活は結婚できない人が仕方なくするもの」というイメージはもう過去のもの。結婚相手として「出会いたい人」を条件で選定し、その中からもっとも自分に合う人を選ぶ。理想の結婚、真実の愛を求めるために積極的に婚活をして、結婚相談サービスを活用するのが当たり前の時代が来るかもしれません。